事故2 年半後、損傷した原発各所に汚染水漏れ。 一方で注水、他方でくみ上げが長年続きそう。
損傷した福島第一原発3機の炉心は常に沸騰点にあり危険の脅威大。常時冷却を続行しないと高熱化とともに放射性ガス噴出の可能性があり、東京電力は1日300㌧の淡水を注入し続ける。
注水を続けるとともに汚染地下水のくみ上げ作業を行う。炉心に接触する水は放射能汚染水に。燃料被覆も溶融したため燃料は非保護状態にある。地震、津波、爆発により損傷した原発の地下からも放射能汚染水が流出。
放射能除染を信じる方が阿呆
放射能汚染水の海への流出を防ぐため、東電は汚染水の回収に努め、昼夜汚染水をくみ上げ、放水、くみ上げ。でもこの危険な水をどこにもっていく? なんということはない、除染した水は密閉したタンクに貯蔵すれば、ほら、すべてオッケー !
除染といっても、そう簡単じゃない。仏原子力産業の大手アレヴァ社の下請け、ヴェオリア社が津波の4 カ月後2011年7 月、緊急水処理施設を設置し「汚染度を1万分の1に下げた」と自慢。が、「混乱状態の中で3 カ月行っただけ。汚染水には60種以上の放射性物質が含まれているのに、塩分とセシウムを除去しただけ」と原子力学者ボアレ氏(西部放射能管理協会会長)。
東芝グループが除染作業を引き継ぎ2施設を設置したが、機能はそれ以上とは言えない。稼働中に汚染地下水に含まれる放射性物質が濃縮され、超放射性廃棄物となりかねない。東電は2020年までくみ上げを続け、溶融した炉心まで達する目標。原発の完全解体には最低40年は必要だ。
実際には汚染水くみ上げだけでは足りない。炉心に注入した水の一部がタンクのひびから漏れ出し、地下水をも汚染し、さらに海に吐き出されている。最近、山から流れてきた自然水が原発地下に掘られた排水溝に流入し、1日400m3の汚染水になっていることに東電が気づく。
解決策? くみ上げしかないのだ。が、この汚染水をどうする? 東芝が1日350㌧を除染し炉心に再注入したとしても残る400㌧は?
林立するタンク
タンクに貯蔵。くみ上げてはタンクへ。巨大なタンクは現場で鋼板をボルトでしめるというピストン作業で建設された。すでに1060個のタンクが林立し33万㌧の汚染水を貯蔵。まだ足りない…。2 日毎にタンク1個必要。火の車の東電は大急ぎで安上がりのタンクで間に合わせ、管理面でもけちる。それらのタンクはざる同然、各所で汚染水漏れが続出。7月、数人の作業員がタンクの壁面で線量計が急上昇したことで汚染水漏れを発見、もう1カ所でも1時間1800㍉シーベルト(付近に1時間いると死亡する)を検出した。
汚染水の海への流出を防ぐため、大手建設会社が提案したのは、原発地下30mに長さ1.4㌔の長方形にパイプを配管し、零下40度の液体を注入し、凍土壁を造り汚染水を包囲するという構想。工事期間3年、保証なし。過去・未来の成果に自信のある安倍政権は早急に原発を再稼動させ、2020年オリンピックを華々しく盛り上げたいところ。
ジャン=リュック・ポルケ(訳 : 君)
*風刺紙カナール・アンシェネ記事(9/11付)転載。